2019年8月14日正午すぎ。慰安婦を象徴する少女像の建つソウルの「日本大使館前」には、日本批判の大きな声が響いていた。だが、集会を見る私はむなしさを感じていた。【外信部長・澤田克己】
熱気がなかったわけではない。ざっと数えると参加者は1500人ほどにはなりそうだ。安倍晋三首相を批判する「NO安倍」というTシャツを着た人たちの姿も目立った。この日は韓国で国の記念日に指定されてから2回目となる「慰安婦の日」であり、毎週水曜日に行われる「水曜集会」の1400回目という節目でもあった。さらに、日本政府による対韓輸出規制強化が7月に発表されたことへの反発もあって、日本批判の声には力がこもっていた。いつもの水曜集会は数十人規模なのだが、もともと学生たちが参加しやすい夏休みである上にいくつもの要因が重なって人数が膨れ上がったようだ。
いくら声を上げたって安倍首相が耳を傾けるはずがない。むなしいというのは、そんな理由ではない。彼らが糾弾している「日本」がそこに見当たらないことに違和感を覚えたからだ・・・続きを読む

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